【事例:欠陥住宅】施工業者に加え、仲介業者を提訴することで短い期間での和解成立

<本記事のポイント>

  • 施工業者だけでなく、仲介業者も提訴し、本質的な依頼主の救済を実現(損害賠償金1,200万円)

  • 同種事案の中では極めて短い期間で和解を成立

  • 欠陥住宅の事案では専門家である建築士との連携が取れる弁護士への相談が推奨

<事案概要>

購入した土地に木造店舗を新築した依頼主から

「引渡から数年経過したら床や壁から変色が出てきた。床や壁を一部剥がしたところ内部の柱が腐食していた。施工業者に補修や補償を求めても全く対応してくれない。」

という相談を受けました。

<経緯・解決内容>

本件では,既に引渡から数年が経過していることや店舗として使用されていた建物であることから,依頼主の救済のためには損害賠償請求の検討が必要になります。

当事務所では,欠陥住宅の問題に精通した建築士とともに依頼主から事情を聴取し建築士による予備調査の結果を検討したところ,施工業者に対しては損害賠償請求が十分可能との見立てを行いましたが,他方で,当該施工業者には損害賠償金を支払えるだけの財産が乏しく,施工業者のみを提訴しても依頼主の救済に繋がらないおそれがありました。

そこで,当事務所は依頼主の救済可能性を高めるために施工業者以外の関係者に対する責任追及の可能性を検討したところ,建築士の本調査により当該物件の敷地が軟弱地盤であること,および,敷地の軟弱性が建物の欠陥に影響を与えていることが判明したことを契機として,軟弱地盤であることの調査を怠った可能性のある土地売買の仲介業者の責任も追及できないかを検討しました。

最終的に,土地売買の仲介業者に対する責任追及も可能であるとの見立てから,当事務所は,建物の施工業者と土地の仲介業者を提訴し,両社に対して損害賠償請求を求めたところ,裁判の初期段階で相手方会社側から和解の打診があり,同種事案としては極めて短い期間で和解を成立させ,一括で損害賠償金1,200万円を確保することができました。

<解決のポイント>

本件のポイントは,

①提訴前の段階で,依頼主の救済(賠償金の確保)の可能性を少しでも高めるため,請求対象の選定や請求可能性を広く検討したこと

専門家である建築士による知見の裏付けを念入りに行ったことです。

損害賠償請求訴訟を提起するに当たっては,事前に調査に協力してくれた建築士に詳細な調査報告書を作成してもらい,相手方会社から想定される反論を予め想定して裁判所に提出する書類に落とし込んだことで,早期和解の後押しとなりました。

欠陥住宅の問題は,施工トラブルや欠陥住宅裁判に精通した建築士との連携が極めて重要です。特に,引渡から数年経ってから表面化する欠陥については,それが施工不備によるものなのかどうか建物の経年劣化によるものなのかどうかが激しく争われることも多く,この点について建築分野の知見と法的観点の両方を踏まえていかに説得的な主張を構成できるかどうかが鍵になってきます。

当事務所では、普段から建築士との連携を強固にしており、こういった専門家の知見が重要になる事案においてもご相談を承っております。お悩みの方はぜひ一度弁護士にご相談していただくことをおすすめします。

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